Keywords
selective mutism, anxiety disorder, neurodevelopmental disorder, systematic review, assessment, speech
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selective mutism, anxiety disorder, neurodevelopmental disorder, systematic review, assessment, speech
査読コメントを受け,主に以下の加筆・修正を行った。
第一に,診断基準の変遷に触れた理由が明確になるよう,記述を改めた。
第二に,妥当性の高い鑑別診断および併存診断のために求められるアセスメントについて考察を加筆した。
第三に,どのような研究がレビュー対象に含まれたのか,明確になるよう記述を修正した。
第四に,先行研究で用いられた質問紙・面接の妥当性検証について加筆した。
第五に,先行研究で実施された観察および今後期待される観察に関して考察を加筆した。
第六に,場面緘黙の異質性に関して,機能的アセスメントの観点から考察を加えた。
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場面緘黙 (Selective Mutism) は,「他の状況で話しているにもかかわらず,話すことが期待されている特定の社会的状況(例 : 学校)において話すことが一貫してできない」 (American Psychiatric Association, 2013 髙橋・大野監訳,2014, p.193) ことによって特徴づけられる,不安症の一つであり,その有病率は 0.03-0.79% である (Driessen, Blom, Muris, Blashfield, & Molendijk, 2020)。ある特定の社会的状況において話す能力がある場合に限り,場面緘黙の診断が下されるため,特定の社会的状況に発話の障害が限定されないコミュニケーションの障害(e.g., 言語症,語音症,小児期発症流暢症,社会的コミュニケーション症などのコミュニケーション症,自閉スペクトラム症,知的能力障害などの神経発達症,統合失調症やその他の精神病性障害)とは区別される。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5) において,場面緘黙は不安症群に位置づけられているが,不安症群内の他の障害(特に社交不安症)との鑑別や,他の障害群である神経発達症群の自閉スペクトラム症等との鑑別方法が確立されていないことが指摘されている (Driessen et al., 2020; Steffenburg, Steffenburg, Gillberg, & Billstedt, 2018)。
場面緘黙とその他の障害の併存についても,これまで数多く指摘されてきた。場面緘黙と社交不安症,自閉スペクトラム症の症状の併存について指摘した先行研究は複数存在しており (Driessen et al., 2020; Steffenburg et al., 2018),場面緘黙児・者における社交不安症の併存率を調べた22編の研究を対象としたメタ分析では場面緘黙児・者の社交不安症の併存率が,0%-100%までのばらつきを示しており,平均 69% (95%CI = 0.52, 0.84) だったことを報告している (Driessen et al., 2020)。社交不安症の特徴である社交場面に対する恐怖は場面緘黙児・者も示すことがあるものの,場面緘黙は,特定状況下での発話の一貫した欠如が診断の基準に含まれている点が社交不安症と異なる。さらに,場面緘黙児・者の 62.9% が自閉スペクトラム症の特徴を有するという報告もある (Steffenburg et al., 2018)。自閉スペクトラム症児・者も社会的コミュニケーションの問題を示すが,場面緘黙児・者では社会的コミュニケーションの障害が特定状況下に限られる点で異なる。以上から,場面緘黙と他の障害との鑑別や,他の障害の併存を同定するためには,異なる社会的状況下での発話評価が重要である。
数十年に及ぶ場面緘黙児・者を対象とした先行研究のほとんどは,様々な質問紙や面接を用いて,社交不安症や自閉スペクトラム症など他の障害との鑑別のため,発話を評価してきた。しかし,質問紙や面接による評価では,複数の社会的状況における発話の生起頻度やその形態に関するデータを直接収集していないため,信頼性に問題があることが考えられる。質問紙や面接の回答は事実そのものではなく回答者の認識であり,回答者の主観的な推論の影響を受けるという問題が指摘されている (Richardson, 2004)。場面緘黙児・者を対象とした研究においては,頑健な手法による,異なる社会的状況における発話の評価が重要である。それにもかかわらず,異なる社会的状況における発話の評価手法についての系統的な整理は,ほとんど行われていない。
これまで場面緘黙児・者を対象とした研究のシステマティック・レビューでは,介入方法や介入効果に関するものがほとんどだった (Cohan, Chavira, & Stein, 2006; Manassis, Oerbeck, & Overgaard, 2016; 水野・関口・臼倉,2018; Østergaard, 2018; Zakszeski & DuPaul, 2017)。場面緘黙の主症状の評価手法に関する系統的な整理を行った研究は近年出版された (Rodrigues Pereira, Ensink, Lindauer, De Jonge, & Utens, 2021)。Rodrigues Pereira et al. (2021) では場面緘黙のスクリーニング及び診断に用いられたツールに焦点を当て,各ツールの長所・短所について考察を行っている。しかし,他の診断との鑑別がどのように行われたかについての検討はされていなかった。本研究の目的は,場面緘黙児・者を対象とした調査・実験研究において,場面緘黙診断の確定方法や,場面緘黙と他の障害との鑑別手法も含め,発話がどのように評価されてきたかを整理することだった。また,レビュー結果に基づき,異なる社会的状況での発話について,信頼性の高い客観的な評価を行うための課題について考察することも目的とした。以上の目的に関連して,場面緘黙の診断基準についても,その変遷を整理した。
優れたリサーチクエスチョンが満たすべき FINER (Feasibility; 実施可能性,Interesting; 科学的興味深さ, Novel; 新規性, Ethical; 倫理性, Relevant; 必要性)の基準 (Hulley, Cummings, Browner, Grady, & Newman, 2013 木原・木原訳,2014, p.19–21) を考慮し,実証的な研究において,場面緘黙児・者の発話はどのように評価されてきたか,をリサーチクエスチョンとした。
英語で記述された場面緘黙児・者を対象とした実証データに基づく調査・実験研究をレビューの対象とした。介入研究は多く実施されており,行動療法や認知行動療法,薬物療法が有効であるなど,介入に関する知見が蓄積されている (e.g., Cohan et al., 2006; Manassis et al., 2016) 一方で,場面緘黙児・者がどのような特徴を有している集団なのかといった情報が不足しており,調査・実験研究が更に必要である。今後,調査・実験研究を進めるにあたり,これまでの調査・実験研究における評価手法に関するレビューが有用だと考え,本研究では,調査・実験研究を対象とした。英語以外の言語で記述された文献,展望論文,質的研究,疫学研究,介入研究は除外した。
レビューの対象とする論文は,システマティック・レビューの方法の国際的規範となっている PRISMA の手順 (Liberati et al., 2009) に従い,選定した。Web of Science,PsycINFO,PubMed の 3 つのデータベースを使用し,論文の検索を行った。論文タイトルを検索対象とし, “selective mutism” OR “elective mutism” を検索キーワードとした。加えて,Web of Science ではドキュメントタイプを article に絞り込み,PsycINFO では Peer Reviewed Journal を条件として絞り込みをした。検索日は 2020 年 1 月 28 日であり,検索日までに出版された論文を対象とした。さらに過去に場面緘黙児・者を対象としたシステマティック・レビュー論文 (Kristensen, 1997; Muris & Ollendick, 2015; Sharp, Sheman, & Gross, 2007) においてレビューされている論文を加えた。レビューの対象とする論文を決定するため,2 名の著者が独立にスクリーニングを行った。1 段階目のスクリーニングとして題目と抄録に基づくスクリーニングを行った。著者間で判断に相違があった論文は2段階目のスクリーニングに含めることとした。2 段階目のスクリーニングとして本文全体に基づくスクリーニングを行った。著者間で判断に相違があった場合には,著者間で協議を行い,最終的にレビュー対象へ含めるかどうか決定した。
情報の抽出と統合は,第一著者が行った上で,第二著者と協議の上,最終的に論文へ含める情報を決定した。本研究では,発話評価手法について概観することを目的としたため,発話評価に関する内容として,(1) 診断基準,(2) 場面緘黙診断確定手法,(3) 場面緘黙と他の障害との鑑別方法,(4) その他の発話評価手法,に関する情報を抽出した。発話評価手法に関しては,対象者が場面緘黙に当てはまるか否かを判断するために使用されたと論文中に記載されている手法を (2) 場面緘黙診断確定手法,従属変数として使用されたと論文中に記載されている手法を (4) その他の発話評価手法とした。(1) 診断基準に関しては,用いられた基準が明記されていた研究数,各診断基準を用いた研究数について調べた。(2) 場面緘黙診断確定手法に関しては,診断を確定するために用いた方法が明記されていた研究数を示し,場面緘黙診断確定を目的として開発された手法について,測定法の種類ごとに用いられた研究数及び用いられた尺度について調べた。(3) 場面緘黙と他の障害との鑑別方法に関しては,場面緘黙群と他の障害群の群間比較研究を対象に,鑑別方法が明記されていた研究数,用いられた測定法の種類及び尺度,場面緘黙と他の障害の併存が認められた場合の群の割り当てについて調べた。(4) その他の発話評価手法に関しては,診断確定以外の目的で発話評価を行った研究を対象に,用いられた測定法の種類ごとに用いられた研究数,用いられた尺度について調べた。
レビューの対象とする論文の選定結果を Figure 1 に示した。データベースによる検索の結果は,Web of Science が 255 編,PsycINFO が 308 編,PubMed が 246 編であった。二重検索を削除した結果,441 編になった。これ以外に過去のシステマティック・レビューの論文 (Kristensen, 1997; Muris & Ollendick, 2015; Sharp et al., 2007) においてレビューされている論文の中から 6 編を加え,合計 447 編となった。447 編の論文について,題目と抄録の内容によってスクリーニングを行った。英語以外の言語で記述された文献 96 編,書籍もしくはチャプター 32 編,レター 17 編,訂正記事1編,展望論文 56 編,質的研究 1 編,介入研究 164 編,疫学研究6編,合計 373 編を除外した。次に,残りの 74 編について本文全体の内容に基づき,スクリーニングを実施した。展望論文2編,質的研究3編,介入研究5編,場面緘黙児・者の実証データを取得していない研究 4 編,合計 14 編を除外した。2 段階目のスクリーニングにおいて,Chavira, Shipon-Blum, Hitchcock, Cohan, & Stein (2007) をレビューに含めるか否か,著者間で判断に相違があった。Chavira et al. (2007) は,主に場面緘黙児の保護者に関する調査だが,場面緘黙児に関するデータも取得していたことから,協議の末,レビューに含めることとした。最終的なレビュー対象の論文は 60 編だった。
対象となった論文は,場面緘黙児・者のみを対象とした調査・実験研究が 13 編,対照群との比較を行った調査・実験研究は 47 編だった。群間比較研究には,定型発達群のみを対照群とした研究が 20 編,定型発達以外の群を対照群に含む研究が 27 編あった。
医学的診断基準を Table 1 に示した。レビュー対象のうち,使用した医学的診断基準が明記されていた論文は 44/60 編だった。単独で使用された診断基準の内訳は,DSM-5 (3 編),DSM-IV-TR (7 編),DSM-IV (25 編), DSM-III-R (2 編),ICD-10 (3 編) だった。ただし,Cleator and Hand (2001) では,DSM-IV を用いていたものの,診断基準の A–D を満たすことを条件とし,診断基準Eは考慮されなかった。複数の診断基準を用いた研究では,DSM-IVとICD-10 (1 編),DSM-III-R と DSM-IV (2 編),ICD-9 と ICD-10 (1 編) の併用が認められた。
診断基準,診断を確定するために用いられたと論文中で記載された測定法,測定法の種類,観察実施の有無について,出版年の新しい順に示した (Table 2)。場面緘黙の診断確定に用いられた測定法について,記載していた研究は 44/60 編あった。測定法が記載された 44 編は,医学的診断基準が記載されていた 44 編とは一致しておらず,測定法が記載されているものの医学的診断基準が明確にされていない研究が 11 編存在した。診断確定の手法として,複数の方法の併用や医療記録によって総合的に判断した研究が最も多かった (24 編)。場面緘黙の診断を確定する目的で開発された測定法を使用した研究と,他の目的で開発された測定法を場面緘黙診断確定のために使用した研究があった。場面緘黙の診断を確定する目的で開発された測定法は Table 2 中に太字で示した。SMQ は場面緘黙の重症度を評価する尺度だが,診断確定手続きに使用したと記載された研究があり,診断確定の列にも含まれている。診断確定を目的とした測定法ではないため,診断確定の列には細字で示した。測定法の種類については,場面緘黙診断確定を目的として開発された測定法の種類を示した。場面緘黙診断を目的として開発された測定法には,面接と質問紙があり,面接が 22 編,質問紙 が 7 編で用いられていた。場面緘黙診断確定を目的として開発された測定法について,妥当性検証の有無を確認した。再検査信頼性は信頼性の指標として,妥当性と区別して扱われる場合もあるが,村山 (2012) を参考に,本研究では,妥当性を支持する証拠の 1 つとして扱った。また,信頼性の指標として,内的一貫性も挙げられる。しかし,内的一貫性が高すぎると,構成概念を網羅する幅広い項目が尺度に含まれていないことを示唆し,内的一貫性と妥当性の両立は困難であると指摘されている (村山,2012)。したがって,内的一貫性は妥当性の観点からの解釈が難しいと考え,本研究では妥当性の証拠として取り上げなかった。場面緘黙診断確定手法として確立された観察手続きはなかったが,発話行動の観察は診断確定のために重要であると考え,観察実施の有無と観察の内容についても確認した。
場面緘黙の診断確定のために面接を用いた研究のほとんど (14/22 編) で,Anxiety Disorders Interview Schedule for DSM-IV (ADIS-IV; Silverman & Albano, 1996) が用いられていた。 ADIS-IVは,DSM-IVの診断基準に基づき,不安症と不安関連症の診断確定を行うための半構造化面接である。保護者をインフォーマントとする ADIS-IV-Parent version (ADIS-IV-P) と子ども本人をインフォーマントとする ADIS-IV-Children version (ADIS-IV-C) がある。ADIS-IV-P/C は Lyneham, Abbott, and Rapee (2007),Silverman, Saavedra, and Pina (2001),Wood, Piacentini, Bergman, McCracken, and Barrios (2002) で,一部の障害診断確定に関して妥当性検証は行われていた。具体的には,Lyneham et al. (2007) では,分離不安症,全般不安症,社交不安症,限局性恐怖症,強迫症について,評価者間一致率が確認された (κ = .80 - 1.0)。Silverman et al. (2001) では,分離不安症,社交不安症,限局性恐怖症,全般不安症について,再検査信頼性が確認された (κ = .63 - .80)。また,Wood et al. (2002) では,社交不安症,分離不安症,パニック症について,ADIS-IV-P/C による分類と Multidimensional Anxiety Scale for Children (MASC; March et al., 1997) の結果に収束性が示唆された。これらの研究では対象者の中に場面緘黙と診断された人々が含まれておらず,場面緘黙診断確定の妥当性は確認されていなかった。ADIS-IV-P は,Yes,No,Other で回答される診断確定のための質問(e.g., 彼または彼女は友人やその他の人々の質問に答えることを拒否しますか,彼または彼女は家庭で家族と一緒にいるときに話しますか)が 8 つ,9 段階で回答される重症度評価のための項目(この問題はあなたの子どもの生活をどの程度妨げていますか)が1つある。質問には,DSM-IVの診断基準 A, B, C に対応する項目が含まれている。診断基準 D (話していないことは,要求される話し言葉,快適な話し言葉の知識の不足によるものではない)に対応する項目は含まれていない。ADIS-IV-C では,場面緘黙の項目は,Screening Questions for Additional Childhood Disorders の中に含まれており,この面接の結果,場面緘黙の可能性が考えられる場合には更に詳細を確認する必要がある。レビュー対象に含まれた ADIS-IV-C を行った研究では,保護者版の ADIS-IV-P も併せて実施されていた。
ADIS-IVの他に用いられた診断確定のための面接には,Kinder-Version des Diagnostischen Interviews für Psychische Störungen (Kinder-DIPS; Adornetto, In-Albon, & Schneider, 2008) (3/22 編),Diagnostic Interview for Children and Adolescents-IV (DICA-IV; Reich, Welner, Herjanic, & Multihealth Systems staff, 1997) (2/22 編),Parent as Respondent Informant Schedule (PARIS; Klein & Mannuzza, 1992) (2/22 編),Brief Child and Family Phone Interview (BCFPI; Cunningham, Boyle, Hong, Pettingill, Bohaychuck, 2009) (1/22 編)があった。Kinder-DIPS と DICA-IV は子ども本人と保護者,BCFPI 及び PARIS は保護者をインフォーマントとする。ただし,レビュー対象となった Kinder-DIPS を使用した研究では保護者版のみが実施されていた。Kinder-DIPS は DSM-IV-TR 及び ICD-10 に,DICA-IV は DSM-IV 及び DSM-III-R,PARIS は DSM-III-R にそれぞれ対応している。Kinder-DIPS,DICA-IV, PARIS はそれぞれ小児精神疾患の診断確定を目的として開発された一方,BCFPI は,感情・行動上の問題を査定する目的で開発された。Kinder-DIPS, BCFPI,DICA-IVは一部の障害診断確定に関して妥当性について報告されていた。妥当性評価として,Kinder-DIPS の保護者版では,注意欠如・多動症,夜尿症,うつ病,分離不安症,限局性恐怖症,社交不安症について,評価者間一致率 (κ = .74 - .96,Yules’Y = .98 - 1.00) が確認されたと報告されている (Adornetto et al., 2008)。BCFPI は確認的因子分析の結果,おおむね良好なモデル適合度 (GFI = .880 - 904,CFI = .860 - 868,RMSEA = .038 - .056) が得られた (Cunningham et al., 2009)。DICA-IV は,De la Osa et al. (1997) によって,医師の診断との一致率や CBCL の結果との収束性一致率が良好であることが確認され,また,再検査信頼性 (6-12 歳用: κ = .32 - .65,13 - 18 歳用: κ = .59 - .92) の検証も行われたことが報告されている (Reich, 2000)。これらの研究では対象者の中に場面緘黙と診断された人々が含まれておらず,場面緘黙診断確定の妥当性は確認されていなかった。PARIS について妥当性を検証した研究は著者らの知る限り,執筆時点で存在しなかった。
場面緘黙の診断確定に用いられた質問紙には,Speech Situations Questionnaire (Cunningham, McHolm, Boyle, & Patel 2004) (5/7 編)とFrankfurt Scale of Selective Mutism (FSSM; Gensthaler, et al., 2020) の診断尺度 (2/7 編)があった。Speech Situations Questionnaire は保護者が回答する Speech Situations Questionnaire-P と教師が回答する Speech Situations Questionnaire-T がある (Nowakowski et al., 2011)。Speech Situations Questionnaire-P は,家庭,学校,地域社会での子どもの発話頻度を 3 件法で尋ねる 15 項目の質問紙である。Speech Situations Questionnaire-T は,教室,廊下,運動場など学校内の様々な場所での子どもの発話頻度を 3 件法で尋ねる 7 項目の質問紙である。Speech Situations Questionnaire-P/T について妥当性を検証した研究は著者らの知る限り,執筆時点で存在しない。
FSSM は, 場面緘黙にあてはまるかを評価する診断尺度と場面緘黙の重症度を評価する重症度尺度から構成されている,保護者回答の質問紙である。診断尺度では,10 項目(e.g., 話すことが期待される特定の状況で話していない,家での話し方と外での話し方に明らかな違いがある)について「はい」か「いいえ」で回答を求める。FSSM 診断尺度は Gensthaler et al. (2020) で妥当性検証が行われた。妥当性の検証として,ROC 解析が行われ,場面緘黙群と定型発達群,社交不安症群,内在化障害群(うつ病,限局性恐怖症,強迫症,全般不安症,分離不安症,パニック症,特定不能の不安症,適応障害)との弁別能が確認された (AUC = 0.97- 1.00)。
各研究独自の観察が診断確定に含まれていた研究が 6/60 編存在した (Arie et al., 2007; Bar-Haim et al., 2004; Henkin, Feinholz, Arie, & Bar-Haim, 2010; Kristensen, 2000; Kristensen & Oerbeck, 2006; Muchnik et al., 2013)。6 編すべての研究において,観察と観察以外の手法を組み合わせて診断確定が行われていた。Bar-Haim et al. (2004),Henkin et al. (2010), Muchnik et al. (2013) で実施された観察では,家庭場面の録画・録音によって,話す能力のあることが確認された。Kristensen (2000) では,家庭場面の録音によって,言語スキルが評価された。Arie et al. (2007) では,家庭場面の録画・録音による話す能力の確認に加え,実験室での保護者および見知らぬ実験者との相互作用中の発話行動も観察された。Kristensen and Oerbeck (2006) は,診断確定の手続きに直接観察が含まれていたと記載されていたが,どのような場面の観察を実施したのかについて詳細な記載はなかった。
群間比較を行った研究は 47 編あり,そのうち,場面緘黙群と定型発達群を比較した研究は 20 編だった。それ以外の 27 編は,場面緘黙以外の障害群を対照群として含んでおり,その内訳は次の通りである。まず,社交不安症群を対照群に含む研究は合計で 10/27 編あり,この 10 編の中で,社交不安症群のみを対照群とした研究が 3 編,社交不安症群と定型発達群を対照群とした研究が 4 編,社交不安症群と内在化障害群(うつ病,限局性恐怖症,強迫症,全般不安症,分離不安症,パニック症,特定不能の不安症,適応障害)と定型発達群を対照群とした研究が 3 編だった。次に,場面緘黙以外の複数の不安症を対照群として設定した研究は合計で 10/27 編あり,この 10 編の中で,不安症群のみを対照群とした研究が 2 編,不安症群と定型発達群を対照群とした研究が 7 編,不安症群と不安症と ADHD の併存群を対照群とした研究が 1 編だった。その他には,場面緘黙と自閉スペクトラム症の併存群 (1/27 編),全般不安症群 (1/27 編),不安症や情緒障害を有する群(小児期の全般性不安障害 (ICD-10 F93.80),小児期の情緒障害,特定不能のもの(ICD-10 F93.9),小児期の社会不安障害 (ICD-10 F93.2)) (1/27編),情緒障害群(不登校,恐怖反応,適応反応,不安,うつ,夜尿症,ヒステリー)(1/27編),場面緘黙以外の精神障害を有する群(小児期に特異的に発症する情緒障害 (ICD-10 F93),特異的会話構音障害 (ICD-10 F80.0),表出性言語障害 (ICD-10 F80.1)) (1/27 編)を対照群とした研究が存在した。そして,対照群の障害・疾患が不明な研究が 2/27 編あった。
対照群を設定した研究では,診断の鑑別方法を記載していた研究が過半数 (18/27 編) だったが,記載していない研究もあった (9/27 編)。鑑別方法が記載された研究間では,その方法が異なっており,場面緘黙と他の障害との鑑別方法が確立されていなかった。
社交不安症群を対照群に含む研究 (10 編) では,場面緘黙群と社交不安症群の群分けのために半構造化面接 (8/10 編)もしくは質問紙 (2/10 編) が用いられていた。半構造化面接を実施し場面緘黙群と社交不安症群を群分けした 8 編の研究では, Kinder-DIPS,ADIS-IV-C/P, DICA-IV が実施されていた。社交不安症群と内在化障害群(うつ病,限局性恐怖症,強迫症,全般不安症,分離不安症,パニック症,特定不能の不安症,適応障害)と定型発達群を対照群とした研究 (3 編) では,内在化障害群および定型発達群の参加者に場面緘黙または社交不安症の症状が示された場合には Kinder-DIPS により診断確定が行われたと記載されていた。場面緘黙と社交不安症の併存が認められた場合には,場面緘黙の基準が優先され,場面緘黙群に含まれる手続きを用いた研究が多かった (5/8 編)。残り3編の研究では,両障害が併存した場合の手続きについて記述されていなかった。診断の確定に質問紙を使用した 2 編の研究では,場面緘黙の診断確定のために FSSM,社交不安症の診断確定のために Social Phobia and Anxiety Inventory for Children German Version (SPAI-C; Melfsen, Walitza, & Warnke, 2011) が使用されていた。質問紙を使用した2編の研究では,場面緘黙と社交不安症が併存していた場合,場面緘黙の診断が優先されていた。
場面緘黙以外の不安症群を対照群に含む研究 (10 編) には,半構造化面接のみによって場面緘黙群と他の不安症群の群分けをした研究が 5/10 編,半構造化面接と質問紙の併用によって群分けした研究が 4/10 編,群分けの方法について記載のない研究が 1/10 編あった。半構造化面接のみを行った研究では ADIS-IVが実施されていた (1 編は Parent Version のみ,4 編は Child Version と Parent Version)。不安症群と不安症と ADHD の併存群を対照群とした研究 (1 編) では,ADIS-IV-C/P によって場面緘黙と判断された対象者が場面緘黙群に分類された。群分けのために一般的な精神保健評価面接によって,現在の問題,発達歴,家族歴,治療歴も確認されたと記載されていた。半構造化面接と質問紙を用いた研究には C-DISC-IV と Speech Situations Questionnaire を実施した研究が3編,C-DISC-IVと Speech Situations Questionnaire に加えて BCFPI を実施した研究が1編あった。不安症群を対照群とする研究においても,場面緘黙と他の不安症が併存する場合,場面緘黙の診断が優先し,場面緘黙群に含める研究が多かった (7 編)。障害が併存していた場合の手続きについて記載がない研究もあった (2 編)。
場面緘黙と自閉スペクトラム症の併存群と場面緘黙群を比較した唯一の研究では,臨床面接,保護者対象の面接,質問紙 (DSM-IVチェックリスト,保護者または教師回答の質問紙,Autism Spectrum Screening Questionnaire) に基づいて医師が臨床心理士と相談した上で判断していた。対象児の示す症状が場面緘黙か自閉スペクトラム症のどちらかだけで説明できない場合に,2 つの障害を併存していると判断された。
全般不安症群を対照群とした研究 (1 編) では,Kiddie Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia Present and Lifetime Version (K-SADS-PL) によって群分けが行われていた。両障害が併存していた場合の手続きについては記載がなかった。
不安症や情緒障害を有する群(小児期の全般性不安障害 (ICD-10 F93.80),小児期の情緒障害,特定不能のもの(ICD-10 F93.9),小児期の社会不安障害 (ICD-10 F93.2)) を対照群とした研究 (1 編),情緒障害群(不登校,恐怖反応,適応反応,不安,うつ,夜尿症,ヒステリー)を対象とした研究 (1 編) では,医療記録を基に群分けが行われていた。場面緘黙と他の障害が併存していた場合の手続きについては記載がなかった。
場面緘黙以外の精神障害を有する群(小児期に特異的に発症する情緒障害 (ICD-10 F93),特異的会話構音障害 (ICD-10 F80.0),表出性言語障害 (ICD-10 F80.1)) を対象群とした研究 (1 編) では,児童・青年精神科で受けた診断を基に群分けが行われていた。場面緘黙と他の障害が併存していた場合の手続きについては記載がなかった。
研究 | 診断基準 | 診断確定のために用いられた方法(場面緘黙の特定を目的として開発された方法は太字) | 場面緘黙の特定を目的として開発された測定法の種類 | 観察実施 | |||
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本人面接 | 保護者面接 | 保護者質問紙 | 教師質問紙 | ||||
Gensthaler et al. (2020) | DSM-IV-TR | Kinder-DIPS | ✓ | ||||
Vogel et al. (2019) | - | FSSM 診断尺度 | ✓ | ||||
Schwenck et al. (2019) | - | FSSM 診断尺度 | ✓ | ||||
Klein et al. (2019) | DSM-5 | ADIS-IV-C/P BASC-3 SMQ 構造化された発達面接 | ✓ | ✓ | |||
Steffenburg et al. (2018) | DSM-IV | 保護者面接(言語発達,場面緘黙症状の開始,診断された年齢,家庭でスウェーデン語以外の言語にさらされているか) 臨床アセスメント(DSM-IV チェックリスト,FTF,ASSQ) | |||||
Capozzi et al. (2018) | DSM-IV-TR,DSM-5 | K-SADS-PL (DSM-III-R,DSM-IV) | |||||
Gensthaler, Maichrowitz et al. (2016) | DSM-IV-TR | Kinder-DIPS | ✓ | ||||
Gensthaler, Khalaf et al. (2016) | DSM-IV-TR | Kinder-DIPS | ✓ | ||||
Diliberto & Kearney (2016) | DSM-IV | ADIS-IV-P | ✓ | ||||
Martinez et al. (2015) | DSM-IV | ADIS-IV-P | ✓ | ||||
Muchnik et al. (2013) | DSM-IV-TR | K-SADS-PL (DSM-III-R,DSM-IV) 家庭場面の録画・録音 | 有 | ||||
Levin‐Decanini et al. (2013) | DSM-IV | 一般的な健康評価面接 ADIS-IV-C/P | ✓ | ✓ | |||
Klein et al. (2013) | DSM-IV-TR | 視聴覚検査 BASC-2 セラピストが作成したDSM-IVの診断基準に基づく構造化された質問紙 | |||||
Alyanak et al. (2013) | DSM-IV | 包括的アセスメント (Dow et al. のガイドラインに従った) 非標準化臨床面接 | |||||
Young et al. (2012) | - | ADIS-IV-P C-GAS | ✓ | ||||
Heilman et al. (2012) | - | ADIS-IV-P | ✓ | ||||
Nowakowski et al. (2011) | - | Speech Situations Questionnaire-P/T | ✓ | ✓ | |||
Edison et al. (2011) | DSM-IV,ICD-10 | BCFPI Speech Situations Questionnaire-P/T (どちらか一方) | ✓ | ✓ | ✓ | ||
Henkin et al. (2010) | DSM-IV-TR | 半構造化臨床面接 SMQ SPAI-C SCARED 家庭場面の録画・録音 | 有 | ||||
Carbone et al. (2010) | - | Speech Situations Questionnaire-P/T | ✓ | ✓ | |||
Nowakowski et al. (2009) | - | Speech Situations Questionnaire-P/T | ✓ | ✓ | |||
Letamendi et al. (2008) | DSM-IV | ADIS-IV-C/P | ✓ | ✓ | |||
Cohan et al. (2008) | - | ADIS-IV-P | ✓ | ||||
Bergman et al. (2008) 研究 2 | - | 包括的評価 ADIS-IV-C/P (参加者の 92% 対象) | ✓ | ✓ | |||
Manassis et al. (2007) | DSM-IV | ADIS-IV-C/P | ✓ | ✓ | |||
Chavira et al. (2007) | DSM-IV | ADIS-IV-C/P SMQ | ✓ | ✓ | |||
Arie et al. (2007) | DSM-IV-TR | 半構造化臨床面接 実験室での保護者と相互作用中の発話行動の観察 実験室での実験者と相互作用中の発話行動の観察 家庭場面の録画・録音 | 有 | ||||
Yeganeh et al. (2006) | DSM-IV | ADIS-IV-C/P | ✓ | ✓ | |||
Kristensen & Oerbeck (2006) | DSM-IV | 紹介元のセラピストとの話し合い 構造化面接 直接観察 | 有 | ||||
Cunningham et al. (2006) | - | 面接 Speech Situations Questionnaire-P/T | ✓ | ✓ | |||
Vecchio & Kearney (2005) | DSM-IV | ADIS-IV-C/P | ✓ | ✓ | |||
McInnes et al. (2004) | DSM-IV | 半構造化面接 DICA-IV (structured conputerized version) | ✓ | ||||
Cunningham et al. (2004) | DSM-IV | 面接 保護者評価 | |||||
Bar-Haim et al. (2004) | DSM-IV | 半構造化面接 家庭場面の録画 | 有 | ||||
Yeganeh et al. (2003) | DSM-IV | ADIS-IV-C/P | ✓ | ✓ | |||
Manassis et al. (2003) | DSM-IV | DICA-IV (semistructured interview) DICA-IV (structured conputerized version) | ✓ | ||||
Kristensen (2002) | DSM-IV | 紹介元のセラピストとの話し合い 構造化面接 認知と言語をアセスメントする標準化されたテスト | |||||
Kristensen & Torgersen (2001) | DSM-IV | 紹介元のセラピストとの話し合い 構造化面接 認知と言語のアセスメント | |||||
Kristensen (2001) | DSM-IV | 紹介元のセラピストとの話し合い 構造化面接 認知,発話,言語の包括的評価 | |||||
Kristensen (2000) | DSM-IV | 紹介元のセラピストへの電話面接 保護者面接 (CAS含む) アスペルガー症候群のための教師評定質問紙 医療記録 各種検査 (WISC,WPPSI,Boston Naming Test,Reynell Developmental Language Scale,運動機能の検査) 家庭場面の録音 | 有 | ||||
Brix Andersson & Hove Thomsen (1998) | ICD-10 | 医療記録 | |||||
Dummit et al. (1997) | DSM-III-RとDSM-IV | PARIS C-GAS LSAS | ✓ | ||||
Black & Uhde (1995) | DSM-III-RとDSM-IV | PARIS | ✓ | ||||
Wilkins (1985) | 医療記録 |
診断確定以外の目的で発話評価を行った研究は 17/60 編あった。診断確定以外の目的で用いられた発話評価の手法を出版年の新しい順に示した (Table 3)。発話評価の方法として質問紙 (16 編),面接 (1 編),観察 (1 編) が用いられていた。質問紙の回答者は,保護者 (14 編),教師 (2 編),場面緘黙児・者本人 (2 編) だった。保護者回答の質問紙を用いた研究 3/14 編,場面緘黙児・者回答の質問紙を用いた研究 2/2 編では,それぞれの研究オリジナルの質問紙を用いていた。
保護者回答の質問紙 (14 編) には,Selective Mutism Questionnaire (SMQ) (10/14 編),FSSM の重症度尺度(1/14 編) があった。いずれも,複数状況下での発話行動を評価する質問紙だった。SMQ は学校,家庭,その他の社会的状況の発話場面の項目 (e.g., たいていの同輩と学校で話す,他の人がいても家で家族と話す,医師や歯科医と話す)における発話頻度を,4 件法で評価する尺度であり,Bergman, Keller, Piacentini, and Bergman (2008) によって,標準化,妥当性検証が行われている。標準化の手続きとして,Bergman et al. (2008) 研究 1 において主成分分析が行われ,3 つの下位尺度からなる合計 17 項目の尺度となった。Bergman et al. (2008) 研究 2 では,場面緘黙群と場面緘黙以外の不安症群との比較の結果,有意な群間差が示され,妥当性が支持された。FSSM 重症度尺度は,学校,家庭,その他の社会的状況における場面緘黙の症状の項目(e.g., あなたの子どもは全般的に同級生と話しますか,見知らぬ人が来ていても家で親しい家族と話しますか,医師と話しますか)についてどの程度あてはまるか,5 件法で評価する尺度である(Gensthaler et al., 2020)。3–7 歳用 (41 項目),6–11 歳用 (42 項目),12–18 歳用 (41項目) の 3 種類がある。発話頻度を尋ねる項目の他,活動への参加頻度を尋ねる項目が含まれている。Gensthaler et al. (2020) で妥当性検証が行われ,臨床医による場面緘黙重症度評価と FSSM 重症度得点に有意な相関が示された (r = .48 - .72)。
教師回答の質問紙 (2 編) では,DortMus-Kita (Starke & Subellok, 2018) (1/2 編) か School Speech Questionnaire(Bergman Piacentini, & McCracken, 2002) (1/2 編) が使用されていた。DortMus-Kita は,園や学校での子どもの発話行動,集団への参加を評価する 17 項目(e.g., 遊び場面で他の子どもに話しかける,先生に声をかけられても黙っている)についてどの程度あてはまるかを,5 件法で評価する質問紙である (Starke, 2018)。妥当性検証が行われており,場面緘黙群と非場面緘黙群の得点を比較し,有意な群間差が示されたと報告されている (Starke & Subellok, 2018)。DortMus-Kita は,学校場面に限定された発話行動を尋ねる質問紙だが,DortMus-Kita を使用した Starke (2018) は,保護者を対象としたオリジナルの質問紙を併用し,家庭や近所,公共の場での発話行動についても評価していた。School Speech Questionnaire は,SMQ (Bergman, Keller, Wood, Piacentini, & McCracken, 2001) を基に作成されたものであり,学校での発話頻度を評価する 11 項目4件法の質問紙である (Bergman et al., 2002)。School Speech Questionnaire を使用したレビュー対象の研究 (Bergman et al., 2002) では,学校以外の状況での発話行動については評価されていなかった。また,Bergman et al. (2002) では, School Speech Questionnaire のうち,項目テスト相関の低かった 2 項目を除外した 9 項目が使用されていた。
面接を行って発話評価をした研究 (Martinez et al., 2015) では,教師を対象とした面接である Teacher Telephone Interview: Selective Mutism and Anxiety in the School Setting (TTI-SM; Tannock, Fung, & Manassis, 2003) の場面緘黙下位尺度を用いていた。TTI-SM の場面緘黙下位尺度は,場面緘黙の症状に関する 15 項目(e.g., たいていの同輩と学校で話す,先生からの問いに答える)について 4 件法で回答を求める電話面接である。発話頻度を尋ねる項目の他,非言語コミュニケーションの頻度,話していないことによる学校成績への影響を尋ねる項目が含まれている。Martinez et al. (2015) により,妥当性を支持する証拠が得られた。妥当性検証として相関分析が行われ,ADIS-P による臨床診断,SMQ との間に有意な相関が示された。また,他の不安症の症状を評価する質問紙である,SASC-R および MASC の全体得点との相関が有意でないことが示された。さらに,場面緘黙群と場面緘黙以外の不安症群との比較の結果,有意な群間差が認められた。TTI-SM は,学校場面に限定された発話行動について尋ねる面接だが,TTI-SM を使用した研究 (Martinez et al., 2015) は,家庭,学校,その他の社会的状況での発話行動を尋ねる保護者回答の質問紙である SMQ を併せて実施していた。
観察により発話評価した研究 (Edison et al., 2011) では,実験室での場面緘黙児とその保護者の会話場面を録画し,複数状況下での子どもの発話と保護者の発話について観察者が評価した。観察場面は,保護者への教示によって4つのセグメント(e.g., 自由遊び場面)に分けられていた。発話は T 単位に分割された。T 単位は Hunt (1966) によって定義された,文として成立する最短の単位である。1 つの主節,あるいは1つの主節に従属節や埋め込まれた節が加わったものを 1 単位とする。例えば,“They tried and tried but while they were trying they killed a whale and used the oil for the lamps they almost caught the white whale.” という文は,“They tried and tried.”,“But while they were trying they killed a whale and used the oil for the lamps.”,“They almost caught the white whale” の 3 つの T 単位に分割される (Hunt, 1966)。子どもの発話は,自発的な発話と保護者への応答に分類され,それぞれ,T 単位の総数が算出された。
研究 | 発話評価ツール | 本人観察 | 本人質問紙 | 保護者質問紙 | 教師面接 | 教師質問紙 |
---|---|---|---|---|---|---|
Gensthaler et al. (2020) | FSSM 重症度尺度 | ✓ | ||||
Klein et al. (2019) | SMQ (2008) | ✓ | ||||
Starke (2018) | オリジナル質問紙 DortMus-Kita | ✓ | ✓ | |||
Martinez et al. (2015) | SMQ (2008) TTI-SM | ✓ | ✓ | |||
Edison et al. (2011) | 観察(保護者との言語的相互作用) | ✓ | ||||
Letamendi et al. (2008) | SMQ (2008) | ✓ | ||||
Cohan et al. (2008) | SMQ (2001) | ✓ | ||||
Bergman et al. (2008) | SMQ (2008) | ✓ | ||||
Manassis et al. (2007) | SMQ (2001) | ✓ | ||||
Chavira et al. (2007) | SMQ (2001) | ✓ | ||||
Arie et al. (2007) | SMQ (2001) | ✓ | ||||
Steinhausen et al. (2006) | オリジナル質問紙 | ✓ | ||||
McInnes et al. (2004) | SMQ (1999) | ✓ | ||||
Manassis et al. (2003) | SMQ (1999) | ✓ | ||||
Bergman et al. (2002) | School Speech Questionnaire | ✓ | ||||
Ford et al. (1998) | オリジナル質問紙 | ✓ | ✓ | |||
Dummit et al. (1997) | オリジナル質問紙 | ✓ |
用いられた診断基準には,ICD-9,ICD-10 (World Health Organization, 1993; 中根・岡崎・藤原・中根・針間訳,2008),DSM-III (American Psychiatric Association, 1980),DSM-III-R (American Psychiatric Association, 1987),DSM-IV (American Psychiatric Association, 1994),DSM-IV-TR (American Psychiatric Association, 2000),DSM-5 (American Psychiatric Association, 2013) があった。ICD-9 では,精神疾患に起因しない広範かつ持続的な発話の拒否という記述が認められたものの (National Center for Health Statistics, 1980, p.1091),診断基準について詳細な情報は,著者らの調べる限りでは得られなかった。DSM-IV,DSM-IV-TR,DSM-5 の診断基準は同一だが,これらの診断基準以外の診断基準では,社会的状況の種類や症状の持続期間など,それぞれ異なる点が存在している。例えば,DSM-III,DSM-III-R では,学校で話せないこと,多くの状況で話せないことが条件になっているが,他の診断基準では,話せない状況が学校である必要はなく,話せない状況が複数である必要もない。DSM-III,DSM-III-R では,症状の持続期間に関する明確な基準はないが,DSM-IV,DSM-IV-TR,DSM-5 では症状が1か月以上,ICD-10 では4週間以上持続することが診断基準に含まれている。言語表現及び言語理解について,ICD-10 では,標準化検査の得点が 2 標準偏差以内であることが基準として記載されているが,DSM はすべての版において明確な言語能力の基準はない。診断基準が異なる場合,個々の研究結果の解釈や比較をする際には,個々の研究で用いた診断基準を考慮する必要がある。一方で,診断基準ごとに社会的状況の種類や症状の持続期間などに違いはあるものの,話すことができる社会的状況と話すことができない社会的状況の両方があるという点はすべての診断基準に共通していた。したがって,どの診断基準を使用する場合であっても,場面緘黙診断確定および場面緘黙症状の測定のためには複数の社会的状況下での発話行動を評価する必要がある。
検査自体の妥当性を高めるためには,場面緘黙診断確定に使用する個々の面接や質問紙の標準化が必要である。診断確定に用いられた手法のうち,場面緘黙診断に関する妥当性が検証されていたのは FSSM のみだったが,FSSM を使用した研究は 60 編中 2 編だけだった。約 97% (58/60 編) の研究は,場面緘黙診断確定について,妥当性が検証されていない手法を用いていたか,診断確定方法についての十分な記載がなかった。いくつかの研究において診断確定に使用された ADIS-IV,Kinder-DIPS,DICA-IV,BCFPI は,一部の障害に関しては妥当性が検証されていたが,その検証において対象者に場面緘黙児が含まれておらず,場面緘黙に関しては妥当性検証がされていなかった。 ADIS-IV,Kinder-DIPS,DICA-IV,BCFPI は,様々な障害の診断を目的として開発された手法であり,場面緘黙の診断を主目的としていたわけではないため,場面緘黙に関する妥当性検証が欠けたままになっているのではないかと考えられる。標準化手続きを経た妥当性の高い評価手法でないと,妥当性の高い診断確定ができないため,標準化された手法を使用することが必要である。特に,場面緘黙児・者と非場面緘黙児・者の弁別能に関する妥当性の検証が重要であると考えられる。FSSM は場面緘黙の評価を目的として開発された手法であり,原版のドイツ語版において,定型発達群,社交不安症群,内在化障害群(うつ病,限局性恐怖症,強迫症,全般不安症,分離不安症,パニック症,特定不能の不安症,適応障害)との弁別能が支持されている (Gensthaler et al., 2020)。今後,他の多くの言語に翻訳され,妥当性検証が行われれば,幅広い地域で場面緘黙の診断確定が可能となるだろう。現在,日本語で使用可能な場面緘黙診断確定方法としては,K-SADS-PL (Kaufman et al., 2016) が挙げられる。K-SADS-PL は DSM-IV に対応した版までは場面緘黙診断確定の項目は含まれていなかったが,DSM-5 に対応した版では場面緘黙の診断確定ができるようになっており,日本語版の妥当性が支持されている (Nishiyama et al., 2020)。Nishiyama et al. (2020) はサンプルサイズが小さかった(n=4)ため,さらなる検証が必要だが,K-SADS-PL は日本語で使用可能な場面緘黙診断確定面接として有望かもしれない。
面接や質問紙の標準化に加えて,行動観察に基づく評価手法の開発も今後の課題である。複数の評価指標や情報に基づき,総合的に場面緘黙の診断を下すことを提唱しているガイドライン (Dow, Sonies, Scheib, Moss, & Leonard, 1995) においても,複数の社会的状況下での発話行動の実測については言及されていない。しかし,質問紙や半構造化面接で扱われている内省的な報告は,実際の行動と乖離する可能性が,これまでの研究で問題点として指摘されている (Baumeister, Vohs, & Funder, 2007)。質問紙や面接だけでなく,行動観察による発話評価を併せて行うことが妥当性の高い診断確定には必要だろう。今後の研究では,場面緘黙児・者の発話の観察を含めた評価手法の確立が望まれる。レビュー対象の論文でも観察を行った研究は少ないながらも存在しており (6 編),5/6 編において家庭場面で問題なく話していることが確認されていた。1/6 編の研究では,家庭場面の観察に加えて,家庭以外の場面の観察も実施された。ただし,それぞれの研究が独自の観察を行っており,場面緘黙診断確定のために確立された観察法はなかった。また,これまでの調査・実験研究では,一貫して話していない状況の観察が特に不足していた。場面緘黙児の多くは学校で話すことができないため (Rodrigues Pereira et al., 2021),学校場面の録画を提出するよう求めることが有用だと考えられるが,普段の授業時間や休み時間など,児童・生徒が多数いる状況を録画することについて同意を得るのは手続き上の困難があると推察される。場面緘黙当事者と,特定の話すことができない相手(例えば,担任教員)の同意を得て,同意が得られた人々だけの状況を設定してもらい,その状況を録画し提出するよう依頼するのが現実的かもしれない。このように設定された状況は,一貫して話していない普段の状況とは異なってしまうが,話していない状態は確認できる。Arie et al. (2007) で実施されていたように複数状況での観察を行うことが望ましいと考えられる。複数状況での発話行動を定量的に評価し・比較し,状況によって発話行動が顕著に異なることを確認できるような観察手続きやチェック項目が確立されると,場面緘黙児・者を対象とした研究の参加者を選定する際に有用である。これまでの調査・実験研究では,観察を含む診断確定を行った研究は少なかった (6 編) が,手法の確立によって,観察を実施する研究の増加が期待される。
場面緘黙は他の不安症や神経発達症の併存が多く報告されており (Kristensen, 2000; Steffenburg et al., 2018),妥当性の高い鑑別方法の確立が今後の課題である。先行研究においても,場面緘黙と他の障害との鑑別方法が確立されていないことが問題点として挙げられている (Driessen et al., 2020; Steffenburg et al., 2018)。本研究の結果,場面緘黙群と他の障害群を比較する研究において,鑑別方法が確立されていないことが明らかになった。場面緘黙診断確定の面接や質問紙の妥当性検証においては,コミュニケーションの問題を示す場面緘黙以外の障害(e.g., 言語症,自閉スペクトラム症)との弁別能の検証が必要である。レビューの結果,場面緘黙と他の障害との弁別能が検証されている評価手法は FSSM のみだった。FSSM は場面緘黙と社交不安症や内在化障害(うつ病,限局性恐怖症,強迫症,全般不安症,分離不安症,パニック症,特定不能の不安症,適応障害)との鑑別については有用性が示唆されていた (Gensthaler et al., 2020)。しかし,コミュニケーションの障害を示す点で共通している場面緘黙と自閉スペクトラム症等の神経発達症との鑑別については未検証であり,今後検証されることが望ましい。場面緘黙以外にも,コミュニケーションの問題が症状として表れる障害(e.g., 言語症,自閉スペクトラム症)は存在するが,場面緘黙は状況によって発話行動が異なる点が他の障害と異なる特徴である。したがって,複数状況下での発話行動の評価をアセスメントに含めることで,他の障害との鑑別が可能になるかもしれない。場面緘黙と他の障害との鑑別に関して,場面緘黙のみを有している場合に場面緘黙のみの診断を下すこと,他の障害のみを有している場合に場面緘黙の診断を下さないことに加えて,場面緘黙と他の障害が併存している場合に併存診断を下すことが適切にできることが求められる。場面緘黙と他の障害が併存しているか否かを判断するためには,複数状況下での発話行動の評価による場面緘黙のアセスメントと,併存が疑われる障害のアセスメントの両方を実施し,症状が場面緘黙または他の障害のどちらかだけではうまく説明されないことを確認することが必要であると考えられる。
他の障害との鑑別が困難な理由として,場面緘黙の病因や行動特徴が場面緘黙児・者間で異なっている可能性や,介入効果が場面緘黙児・者間で共通していないことも影響しているかもしれない。よって,近年のレビュー論文 (Rozenek, Orlof, Nowicka, Wilczyńska, & Waszkiewicz, 2020) でも指摘されているように,場面緘黙は同質性のある (homogeneity) 障害としてではなく,異質性のある (heterogeneity) 障害として概念化していくことが重要かもしれない。場面緘黙児・者内で行動特徴や心理要因を比較・検討した研究が数多く存在することからも,場面緘黙の異質性については検討する価値があるだろう。Hayden (1980) では,病因や緘黙症状の意味によって場面緘黙児についてタイプ分けを行った結果,対象児は,保護者が支配的で保護者との結びつきが強い共生タイプ,自分の声を聞くことに恐怖を示すスピーチ恐怖タイプ,トラウマ体験をきっかけに発症した反応性タイプ,沈黙を武器として使用する受動的攻撃的タイプの4種に分類された。Cohan et al. (2008) では,発話の欠如以外の症状を基に場面緘黙児 についてタイプ分けを行い,対象児は,不安と軽度の反抗を示すタイプ,不安とコミュニケーションの遅れを示すタイプ,不安のみを示すタイプの3種に分類された。Diliberto and Kearney (2018) においても,発話の欠如以外の症状を基にタイプ分けが行われており,中程度の不安・攻撃性・不注意を示すタイプ,重度の不安と中程度の攻撃性・不注意を示すタイプ,軽度から中程度の不安と軽度の攻撃性・不注意を示すタイプの3種に分類された。このように,これまでにも複数のサブタイプに分類できる可能性が示されてきた。さらに,自閉スペクトラム症の症状を併存する場面緘黙児は,そうでない場面緘黙児と比べて,場面緘黙の発症が遅いことや(Steffenburg et al., 2018),同じ介入プログラムの効果は場面緘黙児内で異なっており,顕著な介入効果があるケースと症状が持続するケースがある (Oerbeck, Stein, Pripp, & Kristensen, 2015; Oerbeck, Overgaard, Stein, Pripp, & Kristensen, 2018)。以上のことから,場面緘黙は異質性のある障害として再度概念化した上で,同質性 (homogeneity) と異質性 (heterogeneity) の両側面から,評価を進めていくことが必要だと考えられる。具体的には,場面緘黙は,特定状況下で一貫して話していないという症状は共通していてもその機能が異なる可能性が推察される。特定状況下での発話の欠如という共通した症状に対する介入も必要だが,個々の緘黙症状に応じた介入も考えていく必要がある。個に応じた介入を考える上で,機能的アセスメントが有効だと考えられる。例えば,他者からの注目を回避する,負の強化により沈黙する頻度が増加していることもあれば,他者からの援助行動を引き出す,正の強化により沈黙する頻度が増加していることもあるかもしれない。あるいは,特定の場所が先行刺激となり沈黙していることもあるかもしれない。どのような先行刺激によって発話が制御されており,どのような後続刺激によって発話が強化・弱化されているのかを,詳細に検討していくことが,今後必要だろう。
場面緘黙の発症に関する遺伝的要因の解明も,場面緘黙と他の障害の鑑別に寄与すると考えられ,今後さらなる研究が求められる。これまでの研究では,一般人口と比べ,場面緘黙児・者の家族や親戚では,場面緘黙や社交不安症 (Black & Uhde, 1995),精神疾患 (Brix Andersson & Hove Thomsen, 1998; Steinhausen & Adamek, 1997) を有する割合の高いことが報告されている。また,自閉スペクトラム症との関連が示唆されている contactin-associated protein-like 2-gene (CNTNAP2) の遺伝的多型の 1 種 (rs2710102) が場面緘黙に関連していることも報告されている (Stein et al., 2011)。
場面緘黙の中核症状は,特定状況における発話の欠如であり,場面緘黙の調査・実験研究において発話行動の評価が重要である。2008 年以降,SMQ,FSSM,DortMus-Kita,TTI-SM などの標準化された質問紙や面接が用いられるようになった。SMQ の日本語版である Selective Mutism Questionnaire-Revised (SMQ-R) (かんもくネット,2011) は,現在,妥当性検証が進められており(角田,2021),日本でも標準化質問紙によって場面緘黙児の発話評価が可能になると期待される。しかし,小児・青年を対象とした標準化質問紙や面接が作成されてきた一方で,成人を対象に含む標準化質問紙や面接は存在しないことが,本研究によって示された。SMQ は 3-11 歳 (Bergman et al., 2008),FSSM は 3-18 歳 (Gensthaler et al., 2020),DortMus-Kita は 3 歳0か月から 6 歳 11 か月(Starke & Subellok, 2018) を対象として標準化されている。SMQ を基に作成された TTI-SM は 6-11 歳を対象として標準化された (Martinez et al., 2015)。小児期や青年期だけでなく,成人期に場面緘黙症状を示すケースもあるため (Ford, Sladeczek, Carlson, & Kratochwill, 1998; Walker & Tobbell, 2015),成人場面緘黙者の発話を評価する標準化質問紙・面接の作成は今後の課題である。
質問紙や面接による測定だけでなく,複数状況下での実際の発話を定量的に測定する研究が更に必要である。質問紙や面接を用いて複数状況下での発話評価を行った研究はあったものの,複数状況下での観察を行い,実際の発話を定量的に測定した研究は,レビュー対象の論文のうち,1 編のみだった (Edison et al., 2011)。日常場面の行動を理解するためには,行動を直接観察する方法が適しているという指摘があり (Baumeister et al., 2007),場面緘黙児・者の発話行動の特徴を明らかにするためには,行動観察が重要である。Edison et al.(2011) では,実験室での複数種類の活動中の保護者との会話を観察し,場面緘黙児の自発的な発話と応答を定量的に評価した。質問紙調査によって場面緘黙児・者は場所,相手,活動によって発話頻度が異なると示されているが (Dummit et al., 1997),場所,相手,活動による発話行動の実験的検討は不足している。また,発話頻度以外の発話行動の特徴についても検討の余地がある。異なる場所での発話行動,異なる相手との発話行動,Edison et al. (2011) では検討されなかった異なる活動中の発話行動など,場面緘黙児・者の発話行動について,未検討の点が数多く残っている。今後は,発話行動に影響する複数の変数(場所,相手,活動など)について,場面緘黙児・者を対象とした実験的な研究を推進していくことが必要だろう。さらに,場面緘黙児・者では,発話以外の行動の抑制も症状として表れることがあり(河井・河井,1994),介入場面においては,発話以外の行動に関する評価・介入も必要である。FSSMに含まれるように,対象児・者が活動に参加しているかといった項目の評価も,発話行動の評価と併せて実施されることが望まれる。
本研究は,調査・実験研究のみを対象としており,介入研究をレビューしていないという限界がある。また,事前にレビュープロトコルが準備されなかったという方法論的課題もあった。しかし,本研究によって,場面緘黙の調査・実験研究において発話評価手法が確立されていないという問題が明らかになった。今後の研究では,場面緘黙診断確定のため,また,場面緘黙と他の障害との鑑別のため,異なる社会的状況における発話評価手法を確立する必要がある。
Open Science Framework: Measurement of speech in individuals with selective mutism: A systematic review. https://doi.org/10.17605/OSF.IO/ZS36Q (Toma & Matsuda, 2022).
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システマティックレビューの根拠と目的は明確に示されていますか。
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方法と分析について第三者による再現が可能となるよう十分な詳細が提示されていますか。
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